本との出会い(ヒトデはクモよりなぜ強い)

皆さん、おはようございます。

本日は本との出会いをご紹介させて頂こうと思います。本のタイトルは、「ヒトデはクモよりなぜ強い」 (オリ・ブラフマン/ロッド・A・ベックストローム/日経BP社 1800円+税)です。この本自体は、8年ぐらいに前に発売、実は私も当時に一度だけ読ませて頂いたことがございます。

最近部屋を片付ける中で、本棚を整理している時に、この本を見つけて、あらためて読み直ししてみたので、今回ご紹介させて頂こうと思います。

本の内容は従来の中央集権型の組織から、これからの時代の権限分散型組織にかわっていく流れが書かれている。これまで組織というと、リーダーがいて、その人のリーダーシップのもとで目標を定め、各メンバーに仕事を割り当て、その中で意見を取りまとめていくことが必要だというのが常識であった。しかし、本書では、その「常識」はすでに過去のものであり、秩序もなく、誰がトップなのかがはっきりしない権限分散型の組織が、従来の強いリーダーが先頭に立ってひっぱる中央集権型の組織に変わるものであるといっている。

クモは中央に頭があり、その指令に基づき手足を動かしている。それに対して、ヒトデは頭がないし、真ん中にある体が何かを命令するわけでもない。主な器官は、それぞれの腕の中に複製されて広がっており、ヒトデを半分に切り離すと、ヒトデは死ぬどころか、ヒトデが二つになるのである。つまり、ヒトデは分権型のネットワークとして機能する。

権限分散型の組織では、リーダーが不在のため、相手が攻めようとしても、攻めるポイントが見当たらない。むしろ、ある組織を破壊しても、また次の組織が生まれてくる。これは、特定の人物や機関に権限や機能が集中していないからこそ起きる現象であり、特徴である。インターネットやウィキペディア、さらにはテロの活動も、この権限分散型の組織のため、誰かが中央で支配をしているわけでなく、それぞれが自分の主体性によって行動するだけである。

そして、現在成功している企業の多くが、中央集権型組織でありながらも、そのサービスや経営に、この権限分散型組織の特徴を取り入れたハイブリッド組織であることがわかった。例えば、オンラインオークションのイーベイは、企業そのものは従来の中央集権型組織でありながらも、サービスの要となる部分で、ユーザーにお互いを評価させるシステムを導入しており、権限を分散している。中央集権と権限分散のバランスをうまく取り入れた典型例である。トヨタも、本社は中央集権でありながらも、工場ではうまく権限を分散して、従業員が率先して作業を改善する組織を作ることで成功している。


これからの時代は、強いリーダーシップだけでなく、適度に分権を取り入れることが必要なのかもしれない。リーダーはこビジョンを明確に示す役割であり、あとは権限の範囲を決めてその範囲においては現場で判断していくことが大事なのかもしれない。もっといえば、一番大切な基準さえ決めて、そこをおかすことがなければ、現場の創意工夫・判断にゆだねていく。そうした中で、自然と必要な単位で組織ができあがり、その中で自然とリーダーの新陳代謝もはかられていく。それこそが強い組織であり、変化にも対応し、生き残っていける組織なのではないでしょうか。